社員の基礎学力の低下が明らかになり、企業内での再教育に力を入れる動きが目立ってきているようです。
日経産業新聞オンライン
中小企業においても、即戦力養成のための新人研修や管理者養成のためのスキルアップ研修あたりはどの企業も実施してきたのではないのでしょうか?
また、自衛隊に体験入隊して心身を鍛えるというような新人研修も一時流行りましたね。
記事によると近年、新入社員の基礎学力低下が著しいようです。
以下、記事より抜粋
『技術系の新入社員に対して毎年「テスト」を実行してみた結果、果たしてそのテストの平均点は、同じテストを受けた年配のベテラン社員の6割程度にとどまった。しかも3年間連続で下がり続けている状況だという。内容は小学校高学年から中学校1年生レベルの算数(数学)や理科に相当する問題。』
『1992年から小中学校に「ゆとり教育」が導入された結果、特に理科については合計1048時間あった授業時間が640時間に減り、最も理科の面白さを感じられる実験の時間が大きく減ってしまった。09年4月からはやや増やされて790時間になったが、以前と比べればまだ少ないレベルにとどまっている。』
『この状況に、導入当時はゆとり教育を支持した産業界も危機感を覚え始めており、経済同友会は4月に発表した「イノベーション志向経営の更なる実現に向けて」の中で、09年からの理科と算数の授業時間増を評価しつつも、さらに小学校1、2年生での理科授業の復活を提言している。
しかし「これから小中学校の教員になる世代は、ゆとり教育世代。すでに小中学校で実験を学んだ時間が少ない。さらに小学校の先生の約9割は大学の出身学部が理科を学ぶ機会のない文系」(東京大学特任教授でガリレオ工房理事長の瀧川洋二氏)。実験器具もゆとり教育の期間に処分されてしまっている。理科教育に復権のきざしがあるとはいっても、新たな教育を受けた学生がメーカーに入るのは、何年も先のことである。』
『豊田自動織機は07年度から技術系新入社員向けに38講座からなる「基礎技術講座」を開設。そこで使う教材はすべて自社で作成している。
三菱重工業も19種類(20単位)の講座から入社3年目までに4単位の履修を義務付ける「選択必修制度」を07年度に導入。体験や実習を重視したカリキュラムにしている。』
『日本の強みは「多能工のチームワーク」(東京大学大学院教授の藤本隆宏氏)によって、ややこしく込み入った問題を解決できることにある。これには基礎学力の高い多数の人材が必要だ。この観点で見ると、ゆとり教育は日本が本来持っていた強みを消失する危機を招いてしまった、といえる。学校も産業界も、それぞれの立場で基礎学力の復活を図る努力が求められている。』
抜粋以上
と記事は結んでいます。
中小企業にとってはこれまでにも新入社員の常識や社会性の欠如など、過去には考えられないレベルからの教育が必要になってきていたのではないのでしょうか?
このコラムの執筆時点では経済不況の煽りを受け、人材は買い手市場となっていますが、超売り手市場だった頃からはまだ1年も経過していません。今後も経済不況を脱するに連れて超人材難の時代は必ず、しかもすぐにやってきます。
新入社員は家庭や学校で教えられてきたことは既に身についている。と考えるのはもはや期待薄でしょう。
中小企業では限られた経営資源の中でこれらの教育も実施していかなくてはなりません。
即戦力の中途社員にばかり頼るのも当然限界がきます。
限られた経営資源の中での教育は『効率』がカギとなります。
体系的で効率的な教育にはキモとなる『教育マネジメント手法』があります。
1. 必要な力量の明確化
現時点で必要な力量は明確か?
特定の業務や役職に対してどのような力量を要するのか、箇条書きで整理してみましょう。
2. 力量の評価
現時点で必要な力量に達していない項目は何か?
上記1.で整理された項目に対して各人にどの程度の力量が備わっているのか、スキルマップに表してみましょう。
3. 教育のニーズの把握
必要な力量を満たすために必要な教育は何か?
力量の不足が明かになった項目に対し、どのような教育がどれだけの期間必要なのか?当コラムの目標展開の項を参考に計画してみましょう。
4. 力量の再評価
教育を行った結果、必要な力量が満たされたか?
評価の結果力量の明確化に見直しが必要かもしれません。また力量評価の方法に手を加える必要が生じるかもしれません。あるいは教育の方法を見直すことも考えなければならないかもしれません。
5. 必要な処置の決定
満たされない場合どのような処置をとるのか?
再教育も一つの方法ですが、上記4.の結果を元に見直しを要するかもしれません。また、配置転換などの最終処置も検討されるでしょう。
この様な教育マネジメント手法は『現時点』を『3年後』とか『10年後』などに置き換えると将来の人材計画にも活用できるツールとして使うことができます。
またこれをそのまま人事考課のツールとして流用することも可能となってくるでしょう。
自社の経営資源の許す範囲で、まずは簡単で大雑把なマネジメントから実施してはいかがでしょうか?
0 件のコメント:
コメントを投稿