2009年1月20日火曜日

安心・安全をアピールする

日本経済新聞2008.01.20朝刊より

阿蘇外輪山の山裾に本社を持ち、根菜類などの生産、加工、梱包などを手掛ける農業生産法人松本農園(熊本県益城町)。同社は農作物の生産履歴を記録できる独自システムを開発。作業の合理化や安全性の確保に積極的に取り組む。安心感や安全性を前面に香港などへ輸出するなど新規市場を開拓。売上高は約2億円に達する。
同社は2006年、農産物では全国初、「生産情報公表JAS」の認定を取得。生産過程への問い合わせに即答できる体制を構築した。
消費者や小売業者に安心感を与えるとともに、危機管理や業務改善が図れる。
同社が次に取り組んだのが組織や運営体制の保証。安全確保体制の国際認証「SQF1000」(生産栽培)、「SQF2000」(パック業務)を取得。野菜生産では国内初で、世界的にも珍しい取り組みだ。
「食の安全をイメージで語らない」との理念を掲げて、組織体制でも国際的に通用する外部の客観的評価を獲得。国内外での拡販につなげている。
今春からは農作物の生産に伴うCO2の排出量も記録する。トラクターの燃油消費などをつかみエネルギー使用料を減らす他、作業の改善に役立てる予定だ。農作物の包装にはCO2排出量を表示。農業生産に伴う環境負荷を示すことで、企業イメージ向上も狙う。
自社で実績のある生産管理システムの海外展開も視野に入れる。食の安全が問題になっている中国など、「アジアで生産管理が広がるのはこれから」(日本貿易振興機構・熊本貿易情報センター)。
生産品だけでなく、生産手法や技術でも、九州の農業が国際展開する可能性を探っている。
引用以上

攻めの農業、いや経営のよい実践パターンの一つですね。
ビジネスに変革を加えるときは3つのMを変える。すなわちMaterial(素材)、Manifacture(工程・技術)、Marketing(売り方)、のうちどれかを変える、もしくはこの変化を組み合わせるのがシンプルかつ強力な方法です。

掲載の松本農園さんでは素材は変更されていませんが、売り方とそのための技術に大きな変革を加えられています。

まず、「いかにして売るか?」に着眼し、そのための生産の仕組みを大胆に変革されています。
さらに市場のニーズにより強力にマッチさせるためにその製品、組織、体制に第三者による認証制度をうまく利用されています。
結果として競争優位性と同時に新たな収益源の確保(生産管理システムの販売)につながりつつあります。

同産業、他産業と考えた場合、輸出取引を考えないのであれば国際認証にこだわる必要は無いかもしれません。グローバルマーケットにさらされる業界では有効な手段ですね。

また「安心、安全をアピールする」狙いでは、費用対効果を考慮すれば第三者認証に変わる手段を講じるのも手です。
昨今の農産品では完全有機栽培がもてはやされていますが、いちばん不信感を持たれるのは「どこの誰がどのように作ったのか分からない」点にあります。
この様な状況ではホームページやブログを利用した情報提供も有効な手段です。
誰がどのように栽培したのか?いつどのような状況でどんな農薬をどの程度使用したのか?その結果どうだったのかなど、有利な情報も不利な情報も提供する事で、消費者と情報の共有を図るのが効果的です。
また、農作物が育つ様子や手間暇をかけている様子なども情報として提供出来れば、消費者から選ばれる=消費者がファンになってくれるための効果的なツールとして期待できるでしょう。
もちろん情報提供の欠落が伺える場合等、逆効果を生んでしまわないよう十分な情報提供に努めることも肝心です。

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